2011.2 プノンペン事務所 浦田 富貴美

カンボジアの教育@ 〜小学校教員養成校〜

 現在、カンボジアには、小学校教員養成校が18校(1州に1校)ある。カンボジアには、24州あるので、全ての州に1校とは言えないまでも、全国に6校の中学校教員養成校に比べればかなりの割合で設置されていることになる。小学校教員養成校は、小学校の教師になるために高校卒業程度のレベルの学生が受験をし、2年間学ぶ場所である。カンボジアで、正規の小学校の教師になりたいと思えば、「小学校教員養成校」を卒業しなければいけない。教員養成校で2年間学び、卒業できれば教員資格をもらえる。そして、卒業後、公立の教師として働くことができるのである。この養成校で学びたいと思う学生はたくさんおり、入学するにはかなり高い倍率で受験をし、合格しないと学べない。臨時教師に関しては、日本では、公立学校の臨時採用の教師は、大学等で学び教員免許は持っているものの各都道府県の教員採用試験に合格していないため、1年間等の契約で臨時として働いている。しかし、カンボジアの臨時教師に関しては、日本と違い、教員養成校で学ぶこともなく、また、教員資格も持たない人が子ども達を教えていることになる。
コンポンチャム州教員養成校での授業
 養成校に入学すると、クメール語、算数、理科、社会、芸術、音楽、体育などの各教科の授業と共に授業をどう組み立てていったらよいか(指導案の書き方)等の教授学も学んでいく。そして、2年間の中で教育実習も2回行われる。それぞれ教員養成校で指定された地元の小学校へ行って実習を行う。1回目は、1年生の時に約1ヶ月間、基本的には授業はせずに参観をさせてもらうのみ。2回目は2年生で約2ヶ月間、2〜3人で1グループを作り、各クラスに入って授業を順番に行う。授業を行う学生は指導案(授業の流れを書いたもの)を作成している。残りの学生は、その先生役の学生のアシスタントに入るか、自分の次の授業の準備をしている。この教育実習を終えると、学生たちはぐっと教師としての実践力を身につけていたように思う。まさに、「実践即力」である。
 私がJICAの青年海外協力隊員として活動していた当時、コンポンチャム州の教員養成校では、1学年200人前後、7クラスから8クラスであった。1クラスは、高校を卒業した学生のクラス。残りのクラスは中学校を卒業したのみか、高校には通ったが高校の卒業試験に合格していない学生のクラスである。数年前は、全て高校を卒業した学生のクラスだったそうだが、高校を卒業した学生は教員になった後も、さらなるレベルアップをはかり、大学に通ったり、英語を勉強したりして転職することが多いそうだ。そのため、せっかく教員養成校を卒業し、教師になってもなかなか長続きしないという現状があったため、現在は、中学校卒業レベルの学生が多いそうである。しかし、公務員である学校の教師の給料はかなり安く、教師の仕事に専念できないなどの理由で中学校卒業クラスの学生も長続きするとは決して言えないそうだ。
 「子どもにとって最大の教育環境は教師である」との言葉は、私が日本で教師をしていた時に先輩から学んだ言葉である。どんなに校舎や教科書、教材・教具などの環境が整ったとしても、子ども達にとっての最大の環境は何と言っても「教師自身」である。そう考えれば、この小学校教員養成校で、カンボジアの未来を担う大切な子ども達に、最高の、最大のいい環境となれる教師をたくさん輩出してほしいと願ってやまない。