2012.6 プノンペン事務所 浦田 富貴美

カンボジア地方選挙

 6月3日、カンボジアの1,633のコミューン(地区)で地方選挙が実施されました。来年2013年夏に予定される国政総選挙に向けても大切な選挙であり、結果が注目されていました。AP通信などによりますと、有権者は約920万人。コミューン長(地区長)などを選ぶ選挙で、候補者は10政党から立候補しました。カンボジアデイリー紙によりますと、フン・セン首相の率いる与党、カンボジア人民党は4日、地方選挙で72%のコミューン議員の議席の獲得をしたと発表しました。1,633のコミューン長については、この人民党が1,592名を当選させたとしています。
独立記念塔の周りの道路を封鎖しての選挙戦
 選挙戦は、5月18日から2週間実施されました。各党が選挙カーを繰り出す姿を通勤・帰宅途中に何度も見かけました。特に、6月1日(金)「世界こどもの日」の休日には、人民党の選挙カーが独立記念塔の周りの道路をふさいで夜までアピール。その周りは大渋滞でした。(写真上参照)
 また、地方選挙に際し、飲酒などによるトラブルを回避するため、カンボジア市民、カンボジア在住外国人に対し、6月1日から3日の間、飲酒及び酒類の販売が禁止との発表もありました。選挙のアピールに歌手を呼んでコンサートのようなものを開いたり、大きな音楽を流してお揃いのTシャツを着た人たちが踊っていたりする姿も見かけました。日本の選挙戦とはずいぶん違うなと感じました。
 さらに、今回の選挙戦で日本との大きな違いを2つ見つけました。
投票用紙を説明するチラシ
 1点目は、投票用紙です。カンボジアの選挙は、党名を選びます。しかし、非識字者や半非識字者が多いためか、投票用紙には各党の名前だけではなく、シンボルマーク(絵のようなもの)が一緒に描かれています。その横に四角のボックスがあり、入れたい党にチェックを入れる仕組みです。その宣伝のチラシは民家の壁に貼られたり、お店の前に大きなバナーを作り掲げられたりしていました。
 2点目は、投票確認です。日本では、選挙人葉書が届きそれを持参するか、自己証明できるものを持参すれば投票ができます。その際に、選挙管理委員の方が名簿に印をつけ、コンピュータに登録すればおしまいです。しかし、そのシステムがないカンボジアでは、投票後、自分の右手人差し指をインクのような液体にいれ、投票済みである印とします。そのインクのようなものは洗ってもすぐには落ちない強力なもので、選挙後しばらくは投票を済ませた人たちの指先と爪は真っ黒でした。

 今回の地方選挙の投票率予想は68%と、前回の2007年の74%から低下しているようです。(選挙管理委員会による最終結果の発表は、6月24日頃になる予定)また、選挙権がありながら、選挙人名簿に登録されておらず、投票ができなかったという人も多いようです。実際ASACスタッフのナレはバンティミエンチェイ州の実家に帰って投票をするつもりでしたが、いつの間にか投票権がなくなっていたことがわかりました。さらに、日本のように若者の政治離れか、選挙権があっても投票には行かないという人もいたようです。
 そういった変化がある一方で、1998年から続く人民党フン・セン首相の続投は変わらず、もう少し続きそうです。