2012.12 プノンペン事務所 浦田 富貴美

カンポットで出会った二人の少年 〜カンボジアの中学校の現状から〜

 211月に、カンポット州のある中学校を視察に訪れました。その際に、校長先生から次のような話を聞きました。
 「8年生(中学2年生)から9年生(中学3年生)に進級するまでに、たくさんの生徒が途中で退学してしまいます。理由は、経済的な問題です。生徒は、毎日1,000リエルから500リエル(日本円で\20〜\10)を持って学校に登校します。それは、プリント代や朝食代わりのちょっとしたスナックを食べるためです。しかし、退学していく生徒たちはそのお金さえ持ってくることができず、学校を辞めていきます。退学した後は、働きに行きます。」さらに、校長先生は、こう付け加えました。
 「ここでは、頑張って中学校を卒業して高校に通っても、まだいい就職口がない。その後、大学進学などしても、見つかるかどうか分からない。そのため、経済的な問題を抱える生徒に、頑張って通うことを励まし続けるのも結構難しいのです。」とも。
カンポットの二人の少年
 そして、二人の7年生(中学1年生)の男子を呼んできました。下の写真の二人です。10月から始まった新学期。新しく入学した7年生の中でも、最も経済的に大変な二人だとのことでした。制服のシャツからも家庭の大変さが分かります。学校まで歩いて通っていますが、サンダルも持たないため裸足で歩いてきているとのことでした。
 兄弟も多く、8人(5番目)と、6人(3番目)とのことでした。どちらの少年にもまだ下に、弟や妹がいます。

 また、カンポット州のある小学校の校長先生からは、こんな話を聞きました。
 「頑張って小学校6年生まで通い続けても、経済的な理由から中学校まで進学できない子どもたちが多くいます。そういった子どもたちは、働き口を探して村を出たとしても、小学校卒業なので安い賃金しかもらえません。また、村に残った子どもたちは、仕事がなく結局働かなくなります。そういった子どもたちに、せめて溶接などの技術を身につけさせてやれないかと思っています。」と。
 日本では考えにくいことですが、カンボジアでは小学校6年生まで学んだとしても、読み書きが十分にできない子が多くいます。私もこれまでそういった子どもたちに出会ってきました。私のこれまでの見てきた現状から考えると、それは、日本のように反復練習を徹底したり、つまずいている子をしっかりとフォローしたりという学校の体制が整っていないからだと思います。

 カンボジアの中学校への進学率は、未だ3割程度です。しかし、さらにここから中学を卒業するまでにドロップアウトをする子どもたちがおり、高校進学、そして大学進学までなると、最終的に1割程度になります。
 カンポットからの帰りの道すがら、「何かできることは、ないのだろうか…」と、ずっと考えていました。こういった子どもたちが安心して、毎日元気に学校に通えるような社会体制が整う日がくることを願ってやみません。