2014.10 プノンペン事務所 浦田 富貴美

カンボジアの光と影U(ボンコック湖とワタナックキャピタルタワー)

 2014年8月14日、プノンペンのボンコック湖周辺の住民たちが土地問題解決を求めて、国民議会前にて抗議活動を行いました。「国民議会は土地問題についてきちんと議論してほしい。500トンのコメを提供してほしい。」との要望でした。
埋め立て地と高層ビル、国民議会の建物
 9月末〜10月上旬に、ちょうどスタディーツアーの方がカンボジアに来られました。現在のカンボジアの現状を知ってもらえるよい場所として、ボンコック湖の埋め立て地と、その周辺にできたばかりの高層ビルのワタナックキャピタルタワー(ブーツのような形をしており、タワー1は39階建て、先のタワー2は8階建て)を見学しました。  2008年に始まったボンコック湖周辺住民の土地問題は、解決のために様々な方法が検討されていますが、いまだに解決できていません。ボンコック湖周辺住民たちは、ボンコック湖開発プログラムによって立ち退くことになりましたが、住民たちは賠償条件(1世帯に$8,000)に納得できず、今に至っています。  ボンコック湖には、かつて4,000世帯程の住民が暮らしており、湖には魚やカニなども豊富で、そこで漁をしながら暮らしていた人々もたくさんいたそうです。その人々が、家を失い、住む場所を追い出されるばかりではなく、仕事までもなくしてしまっています。
フェンスが作られていない場所を畑として
使っている様子(後方には、高層ビル)
 ちょうど、現在、ASACのプノンペン事務所でアルバイトをしている学生の叔母さんが、このボンコック湖周辺に住んでおり、彼女はそこに居候させてもらいながら、大学に通っていました。そこで、スタディーツアーの見学で、彼女に埋め立て地と、まだ残留しているその周辺の住民のお宅を案内してもらいました。  ロシア通りに面し、国民議会の建物の前にあたる北側の埋め立て地にはフェンスが建てられています。しかし、反対の南側には土地は埋め立てられているものの、フェンスはまだ設置されていません。彼女の叔母さんの家の前はまさにその南側の境界線に面していました。  彼女と叔母さんは、まだフェンスができていないとのことで、家の前の埋め立て地に、トウモロコシや芋などを植えていました。また、東側のフェンス沿いの住民も、フェンスを利用して小さなお店や床屋さんを開いたり、洗濯物を干したりと様々でした。       そこで、目にしたのがカンボジアの人たちのたくましさ。しかし、数年後には開発工事が始まり、全てにフェンスができたり、周辺の住民は立ち退かざるを得なくなったりするとのことでした。そことは裏腹のように、すぐ近くにそびえ立つ高層ビルのワタナックタワー。まさに、カンボジアの光と影を感じるツアーの一つとなりました。