2007.10
眞野 ちひろ(プノンペン事務所)

 カンボジアには1年に2回、お盆とお正月という大きな祭日があります。お盆はクメール語で「ボン・プチュム・バン」と言い、その語源は日本語の「盆」と同じで仏教の言葉(サンスクリット語とパーリ語)です。今年は10月11日がその日にあたり、仏教が国教であるカンボジアでは前後あわせて3日間(10日から12日)が祝日となります。公共機関や学校以外は大方このプチュム・バンの前後1週間ぐらいが休みとなり、皆田舎へ帰省するためプノンペン市内は人も車も普段の10分の1ぐらいになります。この時期に地方へ向かうバスの値段は普段の2倍、市場で売られる野菜や果物も値段がぐんと上がります。


ご飯と料理をお坊さんに寄進します
 プチュム・バンでやることは、基本的には日本と変わらず、先祖の霊を迎えて送り出すことですが、カンボジアのほうがより規模が大きく、期間も長いです。まずお盆は正式には15日間あり、満月の次の日から新月までです。カンボジアの家庭ではこの15日間、何回かお寺へ行ってご飯と料理を寄進します。このご飯は、お坊さんの読経を通じてあの世から戻ってきた自分たちの先祖が食べることができると考えられています。先祖の霊たちは閻魔大王(ユンマリエッ)から休暇のお許しを得てこの世に戻ってくるわけですが、もし子供や孫たちがお寺へご飯を持っていかないと食べ物にありつけなくて苦しむことになる、ということで「皆さんお寺へ行きましょう」という寸劇をやっているのをテレビで見ました。また、先祖の霊たちは光に弱いため夜明け前にお寺にやってくるらしく、この時期お寺では毎朝3時ぐらいからスピーカーを使った大音量の読経が始まります。最終日の前日には夜通しお経の音が途切れず、お寺の近くに家がある友人は、おちおち寝ていられないと愚痴をこぼしていました。  お盆期間中、特に最終日は、多くの人が夜明け前からお寺へ行き、おにぎりのようなご飯をお寺の周囲あちこちに撒き、先祖にご飯が行き渡るようにします。新月に近いので周辺は真っ暗で、人々でごった返すお寺は結構危険です。また、最終日は明け方になると、改めてお寺に家族そろってご飯と料理を寄進しに行き、お坊さんにお経を唱えてもらって先祖の供養と自分たちの幸福を祈念します。各家庭での迎え火や、灯篭流しを行う地方もあるそうです。

 このお盆もそうですが、カンボジアのお寺では大きなお祭りには必ず「募金箱」が登場します。そして、そこに集まったお金はお寺の修繕はもちろんのこと、学校を建てたり、道を直したりといった村のために使われたりもします。今年着工予定のピッチェイウドン小学校の建設予定地もかつてはぬかるんでいましたが、お盆などでお寺に集まった募金で土を入れ、学校が建てられる土地になりました。  以上、今回はカンボジアのお盆に関する紹介でした。私はASACプノンペン事務所で働き始めて3ヶ月が過ぎ、日々の仕事はまだまだ慣れたとはいえませんが、学校の着工式や開校式などでのスピーチはようやく緊張しないでできるようになりました。お盆休みでリフレッシュして、また頑張ります。