2009.2
眞野 ちひろ(プノンペン事務所)

裸足でも大丈夫?

 11月16日に開催された浦安のフェスティバルの時にいらした方から「カンボジアの子供はサンダルを履かずに裸足でいることがありますが、一般的に履物に関してどのような考えなのでしょうか。」というご質問を頂きました。
 カンボジアはご存知のとおり大変に暑い国ですので、普通のカンボジア人は素足にサンダルを履いています。家の中では何も履かずに裸足で、家の外でも、庭や隣近所ぐらいであれば裸足で出かけていきます。これはプノンペンのような都会でも田舎でも同じです。遠出する時にはサンダルを履きますが、田舎の学校では4割程の子供が裸足で学校に来ます。サンダルも持ってはいるのですが、大切にしているため日常的に履かなかったり、裸足の方が楽だと感じているようです。私もカンボジアに住み始めて早2年半、当初は珍しかったことも今や日常となってしまっていましたが、改めてこの“裸足の問題”を保健分野で働く専門家に聞いてみました。
学校にも裸足で来る子供がいる(コンポンチャム州)
 裸足でいることの一番の問題は寄生虫への感染だそうです。カンボジアの農村では特に「鉤虫(かぎむし)」の感染率が高いそうです。この虫の幼虫は湿気のある土壌にいて、そこを人が裸足で歩くと皮膚から感染します。傷などのない健康な肌からも入るそうです。ASACの識字教室で使う教育省発行の教科書にもそのことが書いてありました。鉤虫に感染した小児は重症の場合、低成長・心不全・広い範囲の組織のむくみが起こるそうです。この寄生虫に効く内服薬もありますが、予防のためには履物を履くことが一番だそうです。
 裸足には寄生虫だけでなく細菌感染の問題もあります。通常床がきちんと張ってある清潔な屋内であれば、素足でいることに問題はないのですが、カンボジアの場合には裸足で土の上を歩いて足の底に細菌をつけたまま学校や家に入るため、屋内が汚染されてしまいます。裸足というカンボジアの文化も大切にしたいですが、そのためには足と屋内を清潔にすることが第一で、これがカンボジアの田舎ではなかなか難しいところです。
 余談ですが、私はカンボジアの家の中でスリッパを履いていたら、ホストマザーに激怒されました。 理由は、1.スリッパで階段を降りる音がうるさい。2.目上の人(私の家ではホストマザーとホストファザー)が室内で履物を履いていないのに目下のものが履くのは失礼。3.家の中の階段は急なのでスリッパを履いていると滑る(実際に私は 滑りました)というものでした。おかげ様で私の足の裏はつねに真っ黒です。逆に日本へ一時帰国した際、同じ調子で家の中を素足で歩いていたら 父親に「家の中で素足でいるな」と怒られました。理由は、足の汚れや油分で床のフローリングが汚れる、というものでした。文化の差をつくづく感じました。