平成22年度国際ボランティア貯金に係る寄附金による援助事業
識字教育及び識字教師の育成[カンボジア]

【事業地】

コンポンチャム州 バティエイ郡
バティエイ地区:
トゥール村  (2クラス)
オマール村  (2クラス)
トムノ地区:
トロペアンスノー村  (2クラス)
プロヨック村  (1クラス)
トムノ村  (1クラス)
ドーンパエン村  (1クラス)

【識字事業実施決定】

識字事業を行う予定のトムノ村風景
 今年7月から開始する事業の対象地であるコンポンチャム州バティエイ郡のバティエイ地区もトムノ地区も過去に識字教室を開催したことがあります。非識字率は10%前後なので全国平均から見ても高くはありませんが、両地区の村々には100人以上の非識字者がいます。この事業で両地区に非識字者がいない状態に近づけるよう推進していく予定です。9クラス開講予定です。
 2007年から識字事業にボランティア貯金の配分金をいただき、今回が4度目です。これらの事業で511名の生徒さんが読み書き、計算を習得して生活改善へのステップを踏み出しました。

(2011年6月29日発行の会報誌サバイ108号に掲載)

【教師トレーニング】

 ボランティア貯金配分金支援の識字教室がコンポンチャム州バティエイ郡バティエイ地区4クラス、トムノ地区5クラスで9月に開講します。開講に先立ち、8月1日〜25日、教師トレーニングが行われました。
 トレーニングはブンペイン氏を講師に、新しい教師21日間、経験者3日間行われます。 受講12日目の先生の感想を紹介いたします。
識字監督ブンペイン氏による講義 講義を受ける識字教師たち

スダム・ダエム(男)38歳 トムノ村教師
  12日間のトレーニングを受けてとても嬉しく思っています。ブンペイン氏は経験豊かで強い信念を持つ良い講師です。私は多くのことを学んでいます。私は教授法について学んでいましたが、生徒の考えを聞かずに一方的に知識を与え、この方法では退屈する生徒もいたと気付きました。しかし、この研修で生徒の関心を引き出し、興味を起こさせる方法を学びました。又、教師とは、単に読み書き計算を教えるのみでなく、そのレッスンが意図する道徳を教え、生活を改善させることに導くことであると知りました。

ワン・ソッパー(男)43歳 トロペアンスノー村教師
 私はトロペアンスノー村の教師です。識字教師になる為のトレーニングをしていただき、ASACとブンペイン氏に心から感謝します。成人に教える方法に関した多くの知識を学びました。成人は強制を嫌うので子供に教えるのとは全く異なります。例えば、ある問題について解決策を教え従わせるのでなく、その原因と影響をしっかり説明する必要があります。又教師は生徒を励まし、援助が必要な時は助言を与えなければなりません。私たちはただ文字や計算を教えるのではなく、生徒が生活について理解し、無知でない生活を送れるように支援しなければなりません。

ボッ・パウ(男)38歳 オマール村教師
 大人の生徒に教える方法が良く分かり、とても嬉しく思っています。以前私は大人に教えるのはとても難しく複雑であると思っていました。しかし12日間のトレーニングを受け、明確に分類された各段階に沿って教えていけばよいと分かったので心配がなくなりました。教える時何をすべきかがわかりました。12日間の研修で最も興味深かったことは、生徒に問題提起し、解決方法を考え悪い生活習慣を改善させるように導く方法です。勿論のことですが、世界中誰でも問題に直面します。教育を受け知識のある人は効果的な解決方法を見出す事ができますが、非識字者で田舎に住む人々の場合、殆どそれができません。私はこのような人々が、この識字教室に参加して学び、生活で直面する問題を解決できるようになり、家庭内暴力を無くし地域の安全が保証されるようになることを願っています。

(2011年8月24日発行の会報誌サバイ109号に掲載)

【第17回識字教室開講】

 9月15日にトムノ地区5クラスの開講式を行い、半年間の教室が始まりました。バティエイ地区の4クラスは洪水による浸水で生徒が教室に通うことができないので、乾期になるまでまで開講を2ヶ月間遅らせることになりました。

開校式に参加した生徒たち トムノ地区役人セン・サリムさんの祝辞

 以下は開校式での来賓挨拶です。

トムノ地区役人セン・サリムさん
 教育は全ての人にとって大切です。教育を受けると、子供にどのような言葉や態度で接したらよいのか分かり、優しく温かい言葉を使って励まし躾ることができます。無教養な人は子供が何か尋ねた時、怖い言葉で答え、子供は落胆し恐れ、再び質問をしなくなってしまいます。  又無学の人は安易にだまされます。例えば、高い賃金を払うと誘い遠方の仕事を持ちかけます。知識のある人は得に女性であれば宿泊、身辺の安全など考えることができますが、無学の人は何も考えずに問題に巻き込まれてしまいます。無学の人に良い仕事などないのです。  また教育を受ければ、問題の効果的な解決方法が分かるようになり、家庭内暴力がなくなります。  識字テキストには煮沸した水を飲む、食器を洗剤で洗って棚に保管する、入浴の仕方、洗濯の仕方、などの保健衛生に関したことが書かれています。それらを実行することで病気を予防し、支出を抑えることができます。  皆さんはこれからの6ヶ月間多くの事柄を学びます。私が述べたことを心に留め、地域で役に立つ人になるように時間通り、教室に通って下さい。学んだ後、地域の長や村長になることもできます。

プロヨック村村長、ヘン・テウさん
 プロヨック村で識字教室が開催されることになり栄誉なことと感謝します。周知のようにこの村は長期の内戦に苦しみ、その結果多くの非識字者がいます。これらの人々を救おうと、本日ASACによって識字教室が開講しとても幸運なことです。皆さんはこれからの6ヶ月、学習に最善を尽くして下さい。しっかり勉強せずASACの期待に添えない場合、来年はもう開講してくれません。この村にはまだ多くの非識字者がおり次回の事業に参加したいと願っています。皆さん、学習に全力で取り組んでください。

トロペアンスノー村村長、セイオム・ソウさん
 来賓、識字教師生徒の皆さんに敬意を表します。
岡村眞理子さんがこの地区で識字教室を開催してくれて以来2度目の教室開催で私達は心から嬉しく思っています。生徒の皆さは最善を尽くして学習してください。テキストには社会を理解し、読み書き計算を習得するための役立つ知識が書かれています。
 以前私は非識字者でした。当時国は内乱で親と兄弟は病気で私は農作業を手伝うため学校を中退しました。運よく国主催の識字教室が開催され参加することにしました。国の発展のため国は人材育成を必要としています。人材は私達です。では、どうしたら私達は役立つ人材になれるでしょう? 読み書き計算ができ、少なくとも収入と支出を管理できる事、つまり、緊急事態に備えて貯蓄し、日記に収入と支出を記録しそれをはっきり知る事です。教師や政府の高官にならなくとも、もし家族を良い状態で生活させることができればそれで十分です。カンボジアの人々の支援に尽力しているASACに心から感謝いたします。識字クラスに参加することは貧困削減の大きな部分です。

【洪水にめげず識字教室開講】

 コンポンチャム州バティエイ郡バティエイ地区、トムノ地区で行われている識字事業は、大洪水の影響でバティエイ地区の開講が遅れていましたが、11月下旬開講しました。
 例年にない大洪水で多大な被害を受けましたが、乾季に入りようやく水が引き始め開講できました。式には小舟に1時間ほど乗り、郡長さんも参加し、この日を心待ちにしていた識字教師、生徒が笑顔で集いました。会場であるオマール小学校は高床式ですが、その床まで浸水したそうです。 壁にその跡が見え、校庭はでこぼこで大きなひびが入っています。識字監督のブンペイン氏が「洪水大変だったね」と語りかけると、生徒はみな口々に「ここまで水がきた」とジェスチャーで示しその大変さを話していました。
 次はトゥール村、この地域の洪水は大人の胸まで水があったそうです。国道に向かう道は今も浸水し移動はボートのみでまさに陸の孤島です。それでも村民はたくましく生活し、式には生徒が続々と元気に集まってきました。生徒は皆これから6ヶ月間教室で勉強できることを喜び合っていました。

(2011年12月21日発行の会報誌サバイ111号に掲載)

【年末〜年始の識字教室視察】

近内 妙子

 事業地のコンポンチャム州バティエイ郡バティエイ地区は、昨年の洪水で大きな被害を受けました。水は引いて教室は問題なく開催されていましたが、村近くの国道の脇にはまだ湖とも思える広い水面が広がっていました。村の道は洪水で壊れ、一部冠水しているところもあり、車は遅いスピードでゆっくりと進みました。
 事業地の一つ、トゥール村に着き、そこから小船で1時間半、オマール村に着きました。この村は周りを水に囲まれた僻地です。先ずは、時間を変更して集まってくれた識字クラスの見学です。教室は民家と教師の家で開催されています。はしご階段を登って行くと、幼子を連れた若い女性が集まっていました。親の後を追って覗きに来る小さな子供もいます。バティエイ地区は洪水の影響で開講が遅れ、11月下旬始まったばかりですが、先生の話では30%の生徒が読めるようになっているそうです。見学の後、生徒にこの事業の大切さを話し、6ヶ月を有効に使って学習するよう激励しました。生徒からは洪水の後、蚊が発生し、夜間特にひどいので蚊取り線香を支給してくださいと要望され、その日のうちに村の市場で購入して配布しました。
 その後、昨年事業地で設置したミニライブラリーの状況、活用状況を調べました。どのような本が好まれ、活用を促すには何が必要なのか、集まった生徒と教師に聞きました。「何の本でも良い、小説が良い、農業に関した本は地域に合った作物を扱ってなく活用しにくい」などの参考になる意見が出ました。新しい本を補給する必要も感じました。

(2012年2月22日発行の会報誌サバイ112号に掲載)

【洪水被害で離村者が増え識字クラス半分のみ終了】

 昨年7月に始まった本事業はコンポンチャム州トムノ地区で6ヶ月間の教室が終了しました。昨年雨期の洪水で開講が遅延したバティエイ地区は5月終了の予定で開催されています。

覚えたての文字を、一文字一文字ずつ
一生懸命に書いています
 トムノ地区は洪水の住居への影響はあまり大きくはありませんでしたが、多くの水田が浸水し米の栽培ができない問題が生じています。そこで生徒の中には、クラチエ州へ出稼ぎに出る人、ジャガイモ掘りの作業員として遠方で働き帰宅時間が遅くなった人、又食料が得られず家族を養うため引越しを余儀なくされた人などが出ました。教師は事業の大切さを話し、教室に通うよう励ましましたが、残念なことにこれらの生徒は学習を続けることができませんでした。洪水被害がいかに甚大であったか改めて考えさせられます。
 3月1日、75名の最終試験合格者の方が、「初めての手紙」を書きました。手紙には、識字教室で学べたことへの感謝や文字を覚えたことや計算ができるようになったことへの喜びがつづられていました。

(2012年4月18日発行の会報誌サバイ113号に掲載)

【2011年-2012年 識字事業終了】

 バティエイ地区では洪水による浸水で生徒が教室に通うことができないので、2ヶ月間遅れで教室を開催しましたが、100人の生徒が最後まで学習を続け、91人の生徒が修了試験に合格することができました。5月29日に修了式が行われました。

良い成績をおさめたセイ サロンさんのスピーチ
 私は小学校2年までしか行けなかったため、識字教室に参加する前は全く読めまませんでしたが、今は読み書き、計算ができてとてもうれしいです。他の人のように読むことができ、すべてが変わりました。私たちを親身に支えてくださり、ありがとうございました。