平成23年度国際ボランティア貯金に係る寄附金による援助事業
住民のための識字教育の実施及び識字教師の育成
[カンボジア]

【事業地】

コンポンチャム州 バティエイ郡
トロップ地区:
トロップ村  (1クラス)
トゥコウ村  (1クラス)
ポールッセイ村  (1クラス)
チャンコン村  (1クラス)
トムノ地区:
トムノ村  (2クラス)
プロヨック村  (1クラス)
チューンプレイ地区:
チューンプレイ村  (1クラス)
オンドンスナーイ村  (1クラス)

【第18期識字事業開始】

 7月からコンポンチャム州バティエイ郡トムノ地区、トロップ地区、チューンプレイ地区の8村で識字事業が始まりました。これらの地域では田を持たない貧困家庭が多く、非識字者の多くは就労の機会にめぐまれず、貧困の悪循環をなしています。
 8月末に識字教師のトレーニングも終わり、9月の開講に向けてプノンペン事務所は大忙しです。

(2012年8月29日発行の会報誌サバイ115号に掲載)

【成功者インタビュー(1) 商いがうまくいくようになりました!】

 1996年以来バティエイ地区のさまざまな地区で識字教室を開催してきました。これらの地域の多くの識字生徒は学んだ後生活水準を向上させることができました。トムノ地区に住む2人のもと生徒から事業がどのように役に立ったのかをインタビューしました。

 プロヨック村のスレヨンさんは、「識字教室に参加する前は2学年まで勉強したことがあり、読み書き計算が全くできませんでした。そのためお客さんが商品を前借した時、その人の名前が書けずに困りました。また問屋から仕入れる時、商品の総額が計算できず他の人の助けが必要でした。しかし、6ヶ月間勉強した後、読み書き計算ができるようになり、これらのことをみんな自分でできるようになりました。」と語りました。

 トロペアンスノー村のユンさんは、「もう10年以上雑貨品を売っていますが、計算が苦手でした、それは古い方法で計算していたからです。それで村の他の人と一緒に識字教室に参加することにしました。今は識字者になって、お金の計算が前よりも良く計算できるようになりました。利益を出すためにはいくらで売ればよいのか計算できるようになりました。また商品を前借した人の名前も書くことが出来ます。」と語りました。

(2012年8月29日発行の会報誌サバイ115号に掲載) 詳細はこちら

【識字教師研修旅行】

 識字教師トレーニング終了後教師の能力向上のためにシェムリアップへの研修旅行を行い、今年で3回目になります。研修に参加した教師から次のような3つの大きな利点が報告されました。
 一つには、一般知識を高めることができました。シェムリアップに到着した時、近代的な建物や施設を見て、カンボジアが近代的な国になったこと、発展のために人材育成が重要な部分であることを認識しました。そして多くのホテル、レストラン、会社、店、などが経済発展の鍵になっていると感じました。それは観光が国の経済を発展させ近隣住民の生活水準を向上させていると感じたからです。
識字教師は初めて見るアンコールワット
 2つ目は、教師はクメールの歴史についてさらに学ぶことができました。教師にとって、カンボジア、とりわけアンコール時代の文化や文明について理解することはとても重要です。アンコールワット、バイヨン、タップロムの寺を訪れた時、壁面に歴史上重要な多くの出来事が刻まれていました。教師はこれらについて学校で学んでいたかもしれませんが、ただ本に書かれたことを読み、教師から簡単な説明を受けていたので、よく覚えてはいませんでした。しかし、実際に見、文化に対する理解を深めることができました。研修旅行では各自が事前学習をし、壁面に刻まれた彫刻について歴史や出来事について説明し合いました。これはとても効果的でした。夜、ソングリー(ASAC運転手、王立プノンペン大学のクメール文学を専攻)がアンコール時代前後の各時代について説明し、全教師はより正確な知識を得ることができ、研修は有意義なプログラムでした。
 3つ目は、教師たちの連帯感を深めることができました。2日間、皆で一緒に車で移動し寺を訪問しました。車の中では2組に分かれてクイズ、難問を出し合い、冗談を言い、歌を歌い、皆で楽しい時を過ごしました。これによって教師の連帯感が深まり良い思い出を作ることができました。間もなく始まる識字教室運営を皆で協力して進行させていく動機付けになりました。

(2012年10月24日発行の会報誌サバイ116号に掲載)

【第18期識字教室開講】

 国際ボランティア貯金配分金による識字クラスは、コンポンチャム州バティエイ郡の8村にて9クラスを運営する計画で、9月17日に開講式を開催しました。式は近隣する地域をまとめ4箇所で行いました。事業地の近くに大きな縫製工場ができ、生徒募集の時期に1万人の工員募集がありました。生徒募集に大きな影響が出るのではないか懸念されましたが、1クラスで生徒数が定員に満たなかったものの、他のクラスでは影響が見られず、順調な開始となりました。生徒の殆どは女性で、みな希望を抱いて式に出席しました。式では教師や生徒に、教室で使用する教科書や文具が贈呈されました。

(2012年10月24日発行の会報誌サバイ116号に掲載)

【識字教室実施中の様子】

トムノ村の会場 床下が教室になっている
チャンコン村の教室 指名された生徒が文を読む
トゥコウ村の教室 小黒板で文字を書く練習

【成功者インタビュー(2) 農業がうまくいくようになりました!】

 トムノ地区に住む2人のもと生徒から、農業での新しい取り組みが軌道に乗っている話しを聞きました。

 トロペアンスノー村のウーン・イヤムさんは、「私は2学年までしか勉強したことがなく、読み・書き・計算ができませんでした。しかし教室に参加して、読み書き計算ができるようになり、家の収入と支出を記録し、計算出来るようになりました。その上、農業についてもっと知ることが出来ました。それは識字テキストに穀物や野菜の栽培計画、米の収穫量増加についての説明があったからです。それらの知識を元に、家族の為に新しい方法を考えました。妻がアヒルの飼育を提案しそれに決めました。1回目は850羽のアヒルを飼育しました。今回は150羽増やし1000羽飼育しています。」と語りました。

 プロヨック村のニイル・キアンさんは、「識字テキストやASACが提供してくれたミニライブラリーの本に豚の飼育方法について書いてありました。私はミニライブラリーからその本を借りて夫にも読ませました。それによって豚の効果的な飼育方法についてもっと知る事が出来ました。その上、私は計算が上手に出来るようになり、売買する時以前に比べ混乱する事がなくなり、支出と収入を記録できるようになりました。また、クメール語で書かれた豚の薬について読めるようになりました。でも細かい記述については、まだスラスラとは読めません。」と語りました。

(2012年12月19日発行の会報誌サバイ117号に掲載) 詳細はこちら

【識字事業視察報告 (2月3日〜18日)】

 2月に訪問した理由は、「成功した人の体験談交流会」の実施です。これは、これまでASACの識字教室に参加し、学んだ知識を生かして仕事を改善させたり、新たな取り組みをして生活を向上させることのできた人の体験談を識字生徒の前で発表していただき、生徒の学習意欲を高め、教室終了後の就業促進に結び付けようとするものです。
 事業地はプノンペンから車で1時間半ほどの国道から離れた僻地にあります。 近づくと、木々の合間に粗末な造りの民家が見えてきました。その様子を見て、「事業地にきた」、とワクワクし、「支援が本当に必要だ」と痛感しました。
なごやかな雰囲気の中で体験交流
 交流会1回目は4村にて行いました。発表者は、新たにアヒルの飼育を始めた男性35歳(NEWSサバイ117号で紹介)と、小さな店を大きくした女性39歳の2名でした。午前中2村、午後2村訪問というハードスケジュールでしたが、交流会は大成功でした。日中にもかかわらず、各会場(小学校)には30〜40人前後の生徒が集ってくれました。 発表者は暑さと砂埃の中をバイクで移動し、生徒の前で体験談を発表、その後生徒の質問を受け交流しました。
 質問はアヒル飼育に関する専門的なこともありましたが、多くは仕事をする上で、非識字者であった時の困難さと識字者になって改善されたこと、識字教室でどのように努力したのか、などでした。店をしている女性は、「非識字者であった時、字を書けないことを知っている客がツケで買い物をして、記録が出来ないので忘れて損をしたり、計算ができずに困っていたので、教室では一生懸命勉強しました」、と話し、生徒の共感を呼びました。
 アヒル飼育をしている男性は「鳥の病気に関する本を読み、自分で勉強しました」と、教室終了後の継続した学習を激励しました。
 教室は3月上旬に終了しますが、生徒の中にはまだ学習に自信のない人がいます。今回の交流会では、そのような生徒に学習方法のアドバイスを与え、残された期間での学習意欲を高める良い機会になったと思います。また発表者や教師が「生活家計日誌」の記載を強く勧めていました。交流会に持参し誇らしげに見せてくれた生徒もいて、導入したことを嬉しく思いました。本事業では教室終了時、各生徒に希望する講読本を配布します。教室終了後もできる限り文字に接し、せっかく学んだことを忘れないでいてほしいと願っています。
 事業地近くの国道では、道幅を倍にするという、大規模な道路工事が行われていました。中国資金だそうですが、国道沿いには大きな工場がいくつか建設されつつありました。前教師の中に工場労働者になった人もいます。工場ができれば識字者である必要性が高まり、カンボジアの地方も今後変化していくであろうと感じました。

近内 妙子

(2013年2月20日発行の会報誌サバイ118号に掲載)

【第18期識字クラス閉講】

 コンポンチャム州バティエイ郡の8村で開催された識字クラスは3月下旬無事閉講しました。214人の生徒を対象に6ヶ月間行い、コース修了者は173人、修了試験合格者は162人でした。
成功者として体験を話すサロンさん。「夫に先立たれて廃品回収業を始めましたが、識字教室に通う前は文盲だったので苦労しました。息子は今大学で情報技術を学んでいます。私も読み書き計算の勉強を続けています。」
「識字教室で計算ができるようになったので、野菜の商売で野菜の重さと値段の間違いをしなくなりました。子どもには学校を中途退学するようなことはさせません。」
 本事業のハイライトは、これまでASACの識字教室で学習し、その経験を生かして新たな取り組みを行った成功者による体験談の発表・交流会の実施です。生徒の学習意欲を向上させ、新たな取り組みを鼓舞する効果がありました。また大きな成果として、教室終了後、生徒による自主的な学習が継続されることになったクラスがあります。自分たちでお金を出し合い先生に給料を払う方法で3ヶ月間継続されることになりました。修了式では全員に希望する図書を贈呈しました。これらの本を読むことで学んだ文字により親しんで欲しいと願っています。
 修了時、生徒はこれまでは書くことのできなかった手紙を「初めての手紙」と題して書きました。

識字生徒の「初めての手紙」から

コーン・キアン、43歳、女性
 識字教室に参加する前私は文盲でした。でもASACが開催した識字教室に参加して、読み書き計算ができるようになりました。今私は家族の生活状況を良くする為に、何か仕事が出来るのでは、と思えるようになりました。また、無資格の産婆の介助による家でのお産の危険性や、不衛生について理解できました。危険を避けるため、お産は病院や保健所でしなければなりません。地域の状況を改善する為、私は教室で学んだ事を他の非識字者に教える事ができます。教室を開催し、勉強に必要な文具を提供してくれたASACに心からお礼を言います。ASACの活動の成功と発展を祈っています。  

チー・アン、43歳、女性
 以前私は文盲でしたが、識字教室に参加して、読み書きができるようになり、商品の値段計算ができるようになり、今とても幸せです。また、子供の世話の仕方が良く分かり、かゆみや下痢その他の病気の原因について理解できるようになりました。ASACの成功を祈っています。  

(2013年4月17日発行の会報誌サバイ119号に掲載)